日経平均16,500円割れにみるアベノミクスの終焉

 

2016年1月20日水曜日

日中のザラ場で日経平均が1万6500円を割り込むのは2014年10月31日以来の約1年3か月ぶり。(この記事を書いている時点での日経平均株価は16400円)

2014年10月31日の日銀の『異次元緩和』以降保ち続けた日経平均の安値も早々割りそうな勢いである。

ことの発端は中国の景気減速や原油安と言われているが、そういったリスクは去年から何も変わっていない。アメリカの利上げや今まで株価が上がり続けたことを考えると、別にこの程度の下落は経済の流れからすると当たり前の現象に過ぎないのである。

 

2015年の大納会の株価が日経19,000円、そこから2016年1月に入って20日の時点での日経の株価が16,400円。額にして-2600円下がったわけである。

 

GPIFの年金はどこまで融けるのか?

 

『平均株価の下落幅は、大発会からの10営業日で2000円を超えた。この間、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用損が7兆円を超えた』

日経平均が17,000円を割った時点での年金の運用損は7兆円、一応民主党政権以降、年金運用の収益は33兆円のプラスらしいが、この計算でいくと1月15日の時点では+26兆円、1月20日の時点で日経は16400円。

今年に入ってからの下落トレンドを見てみると日経が16000円を割るのは時間の問題で、その時には年金の運用益は+22兆円まで下がることになる。

問題なのはその時に株をすべて売却して清算済みならば丸々22兆円の利益が確定するだろうが、約135兆円の運用資産を持つと言われるGPIFが株に投資した資金を回収する間にさらに株価は下り、運用益も減り続けるだろう。

 

まあ、最終的にプラスで終わればいいが年金が大きく損失を出した時に一体誰が?その責任を取るのだろうか?

 

 世界経済のこれから

2008年のリーマンショック以降続いたアメリカの量的緩和政策も終了に近づき、世界経済をけん引していた中国の失速。

米著名投資家ジョージ・ソロス氏は現在の国際市場と2008年の経済危機の類似点を指摘、「現在の市場は2008年の経済危機をほうふつとさせる」と述べている。

 

去年の中国GDPの伸び率6.9%と25年ぶり低水準になってしまったが(6.9%でも高い)問題はこれから、中国経済の失速で今まで中国国内で拡大してきた歪み『不動産バブルの崩壊』『企業の巨額負債』『拡大、拡張を続けた経済路線の終焉』など、今まで何とかごまかしてこれた歪みがこれから表面化し、日本のバブル崩壊以上の経済的停滞期に突入する可能性がある。

そのこと自体は先進国ならどの国でもなる可能性がある問題で、長い経済史からみたら普通のイベントなのだが、問題は内包している数多の爆弾が一気に爆発して

中国発の『リーマンショック以上の金融危機』が起こる可能性があることである

それこそ盛大なチャイナボカンが起きるだろうが、時間の問題でしょう。

 

表向き中国の減速や、原油安による産油国の損失補てんのための株の利益確定売り、アメリカの利上げによる国債への資金の移動など株価の下落要因はいくつか考えられますが、今年以降、日銀黒田による緩和と言う名のメッキが剥げ落ち、更に中国の動向しだいでは一段と株価の下落が待っているでしょう。

 

2012年まで日経平均は1万円前後をうろうろしていたことを考えると、16,000円でもまだ6,000円の下落余地があります。日経平均16000円としてもリーマンショック後の2倍の価格が付いているわけですから、これからまだ下がる可能性があるわけです。下がったものは上がるし、上がったものは下がる経済なんてそんなもん。

 

今年から株価は下落トレンド入りした可能性があり、今までのアベノミクスのように右肩上がりではなくなるでしょう。年初から2600円も下落しましたが、この程度の下落は長く相場をやっていれば何度か経験し、そのうち慣れます。

 

3月の配当取りに向けてどこかで株価が底打ち反転、日銀のさらなる緩和で一旦株価が上昇するなど、いくらか株価は戻すでしょうが長くは持たないでしょう。

なぜなら、本当の暴落はまだまだこれから先に起こるのですから。2016年はそのことを頭の片隅に置いて取引をしたほうがいいと思います。