日経先物16000円割れ!世界相場が下落トレンド入りした3つの理由

今夜の日経平均先物225の株価指数が大台の16000円を割りました。

一時、日銀のマイナス金利政策導入による追加緩和政策の発表で日経平均は17000円台にまで戻す場面もありましたが1週間も持たずして下落。

 

 2月9日の日経平均株価終値は前日日-918円の16085円

 

ドル円も1年3か月ぶりに114円台に突入し、この記事を書いている時点でドル円は114.42円。

 

日経平均が16000円を割るのも2014年10月の黒田バズカーカ2以来、去年の11月には約20000円をつけていた株価も、わずか3か月で高値から40%の下落である。

 

前に予想した通り日経先物は16000円を割ったので

 

maeda.hatenablog.jp

 

現物の株価も明日には15000円台に突入することでしょう。

 

 

日経平均株価が大きく下げた3つの要因

 主に今年1月からの株価の下落要因とされてるのがこの3つ

『原油価格下落による中東の換金売り』

『中国の明らかな経済成長鈍化による景気減速』

『アメリカの金融緩和終了による利上げ』

 

他にもいくつか原因があるかもしれませんが、とりあえずこの3つに焦点をあてて経済素人が話してみます。

 

1.原油価格下落による中東の換金売り

 2014年の夏ごろからWTI(原油の有名な先物指標)原油価格が1バレル100ドルを越えていたのが、わずか半年で30ドル台に。2016年現在リーマンショック後につけた最安値を割り、原油価格は一時20ドル台で推移。一応今のところ1バレル30ドル前後で動いていますが2003年以来の安値で推移しています。

(※2014年夏の原油価格下落の時からすでに下落トレンドのフラグは立っていた)

 

 原油価格が高値を維持していたことで大儲けしていたサウジアラビアやロシアなどの産油国は、この価格の下落で大打撃。財政赤字の拡大で中東産油国は経済的にかなりまずい状況に陥っているらしく、その赤字を穴埋めするために石油ファンドなどの大口が株式を売却し利益を確保しています。

日経も15年ぶりの高値をつけているわけですから、当然利益が出ている株なら売り払うのが常識です。

 

2.中国の明らかな成長鈍化

リーマンショック以降の世界経済をけん引してきた中国の経済成長の鈍化。

GDP成長率平均8%以上だった中国経済に失速感がみられること、2015年の実質GDP(国内総生産)の成長率が確か6.8%(当局の発表する数値の信ぴょう性は置いといて)

中国国内では建築ラッシュの終了で鉄鋼価格の下落、国内の景気状況が悪化し始めています。人件費の高騰と人民元高も影響し、中国に生産拠点を持っていた海外の企業も次々に人件費の安いベトナムやフィリピンへ工場を移しているとも言われています。

 

この中国の経済成長の失速(GDP成長率6.8%でも高いのですが)で、原油の需要が減少し原油価格の下落要因に。

日本企業など中国に製品を輸出している企業の収益低下などが見込まれ日本株も売られています。

 

3.アメリカの利上げ観測による資金の移動

サブプライム問題からリーマンショック後までの2007~2009年。14000ドルをつけていたダウ平均株価が半値以下の一時6500ドルまで大幅下落。2009年の失業率が10%越え100年に1度の金融危機と言われた『リーマンショック

その後、オバマ大統領とFRB議長バーナンキのもと、QE(量的緩和政策)による利下げとドル安政策でアメリカ経済の復活を目指しました。

 

2009年の3月にダウが最安値をつけたあと、アメリカ経済は右肩上がりで上昇。2009~2015年までの間に株価は14000ドルを突破し、その後も戦後最高値を更新し続け18000ドル越え。iPhoneを販売しているAppleの復活、Googleフェイスブックなど2000年前後に登場した新鋭企業の台頭などアメリカ経済の力強さを見せつけられました。

アメリカの雇用統計によると1月の失業率は4.9%と8年ぶりに4%台に。アメリカ経済の回復にともなうQEの終了と政策金利の引上げが現在行われております。

 

■ではなぜ利上げで株価が下落するのか?

 経済評論家でもプロの投資家でもないので知識は受け売りですが、アメリカが利上げするとなぜ株価が下落するのか説明してみたいと思います。

利上げ(政策金利の上昇)による影響というのは様々なものがあるのですが、1つに米国債金利の上昇があります。国債とは国が発行する債券のことで、金利は低いですが比較的安定した投資先となります。国が破綻したり潰れない限りはその元本を国が保証するわけで安全な金融資産です。当然アメリカ国債も有力な投資候補の1つで、その金利が上昇するとなればアメリカ国債資金が流入するのは当然です。

今までは0金利政策で国債金利が低かったので、価格変動のリスクが高いが配当も高い株式にお金が流れていたのですが、投資の基本は分散投資ですから、安全資産の国債を購入してリスク低減を図るのは当然です。(ある意味正常な状態に戻るだけです)

 この過程で株式売却→国債購入と資金の移動が行われるので株価が下落するのです。

 ※他にもドル高や資金の引き締めなどアメリカの株価下落には色々な原因がありますけどね。

 

日経先物16000円割れ!世界相場が下落トレンド入りした3つの理由 まとめ

こんな感じで世界経済はいくつかの株価下落要因が重なっているので日本株も下落トレンド入りして値下がりしているのです。

この一連の株価下落自体は自然な経済活動の結果であって、普通と言えば普通な状態なのです。

 

今まで官制相場でGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が年金をつぎ込んで株高を演出してますが、実体経済にそくさない不当に高値がついたものは市場の原理に従って適正価格に下がるのは当たり前。

 投資の素人でもそんな常識はわかるのに、投資のプロであるGPIFが大損を出すなんてそんな馬鹿なことをするはずがありません。

約130兆の年金資産を運用し最悪でも株式の最大損失は21.5~26.2兆円(リーマンショック時の損失額が約9.3兆円)

アベノミクス以降3年間で+36兆円の運用益があるそうですが、どこまで維持できるか?日経平均は16000円まで下がりましたが、今後中国の動向次第では100年に1度の金融危機(2回目)が起こる可能性も高いです。

有名投資家のジョージ・ソロス氏いわく『現在の市場の混乱は2008年のリーマン危機を思い出させる』と語っています。 投資をやっているものならこの中国リスクは数年前から想定して当たり前の常識なのですが、果たして日本政府やGPIFはこの危機をどこまで認識しているのか?年金が大損した場合の責任はきちんととるのか?が今後焦点となるでしょう。

 過去に起こったグリーンピアの破綻、年金流用問題など、それを遥かに凌ぐ損失を出さないことを祈るばかりです。